西加奈子 『円卓』

 西加奈子作品を初めて読んでみようと思い、

   『円卓』 

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        文藝春秋 2011

を手に取った。

 

 言葉のリズムが良く、断片的な文章の欠片の一つ一つが符合して意味を為し、脳にストンと落ちてくる感覚が小気味良い。

 大人になり薄い皮膜越しには見えにくくなった透き通った景色と、未知に満ち満ちている世界から受ける圧倒的な孤独と不安。

 子どもの頃に感じていたそれら純粋な感覚を少しだけよみがえらせてくれる、そんな小説。

 

 映画化もされているみたいで、小憎らしくも純粋な主人公の女の子、ことこを演じる芦田愛菜ちゃんの

    「うるさいぼけ!」

も少し聞いてみたい気がする笑

ピース又吉 『火花』

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最近は相方の綾部祐二の方がニューヨーク進出の騒ぎでメディアに取り上げられているが..今更ながら又吉直樹の『火花』の感想..

 

 己のセンスに付き従い、世間を度外視して奔放に生きる、天性の才能を持つ先輩と、その先輩を師と仰ぐ、世間を捨てきることのできない僕との、2人の芸人の揺らぐ距離感、心の機微を描いた小説。

 ピース又吉は独特の雰囲気を持ちその芸風はシュールだが、正直、抉るような言葉のインパクトには欠けると思う。しかしその言葉たちには、口に入れて噛んだ瞬間にほわっと広がるような人情味のようなものがあり、それが登場人物達に魅力を与え、味わい深い物語となっている。

 

この小説、映像ストリーミング配信会社のNetflix(ネットフリックス)でドラマ化もされたみたいだが、出来はどうなのだろうか...