検察側の罪人 読書感想
木村拓哉×二宮和也の対決を映像で見たくて、映画を見ようと思ったが、意外に評価が低かったのでとりあえず原作を..
サスペンス的な展開で一気に読める、映画化されるのも分かるエンタメ作品。
しかしあくまでエンタメ作品として秀でているのであって、思想的な深みなどを持たせる必要はない。
無理にそこを前面にだしてしまうと、
【どちらが善でどちらが悪か..いや正義なんてのはそもそも絶対的なものではなく、見る視点によって善にも悪にもなり得る、相対的なものだ】
という陳腐なポリフォニーに堕してしまう。
※以下ややネタバレ
思想的には明らかに「奴」が間違えている。
冒頭で奴みずからが言うように、検事とは法律という万能ではない剣を使う仕事。
剣を使うというルールのゲームに参加しといて、その剣に刃こぼれがあったからと言って「銃」を取り出すのはあまりに幼稚だろう。
私刑を排するための妥協点としての法律、それそのものに不満があるなら、執行者側ではなく、制定する側に回るしかない。
法律の剣を振るうのは、子供たちの生きる社会の平和を保つためとはよく言ったもの。
奴にも大切な家族がいるだろう。
「なぜ人を殺してはいけないか」
それは、小学校で習う道徳を持ち出すまでもなく、
【自分、または自分の大切な人を殺されないために、人を殺してはいけないのだ。】
そこにはそもそも、正義論は介在しない。