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行間に漂う不気味さ..吉田修一『パレード』

 なんなのだろう..この、読んでいるうちに胃の腑から静かな不気味さが滲み出してくる感覚は..

 

 『パレード』 吉田修一 幻冬舎文庫 2004 

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 適当に交ざって、飽きたらいつでも去れるような、チャットのような表層的な空間で共同生活をする若者達。

 心の内奥を晒すこともない、閉塞感漂う社会に適応した居心地の良い気怠い空間。

 何も無い社会だからこそ、何も無い空間に希釈された空気として溶け交ざる。

 しかしその中に、閉塞的な社会、世界からの解放を望んでいる異質な者が一人..

 自己と他人、内と社会との隔絶。

 ラストの展開は、彼らの無関心は、どこまで現代の病理を表出しているのだろうか。

 

 この作品は2010年に、藤原竜也 · 貫地谷しほり · 林遣都 などのキャストで、行定勲監督が映画化している。

 これがまた、原作の空気感がよく出されていて面白い。

 決して多くはない、原作小説の映画化が成功したなぁと思える作品の内の一つ。